マジェスティ125(コマジェ)のエンジンオイル交換、あなたはどうしていますか?
バイク屋さんに頼むにせよ、自分で交換するにせよ、このバイクのオイル交換に関する情報は様々な見解が錯綜していて中々どれが本当なのか見極めるのが難しいですよね。
私もオーナーの一人として自分なりに結論を出し、自分でメンテナンスをしています。
私はバイク屋さんでも自動車整備屋さんでもありませんが、仕事で大型プラントの機械整備等にも携わります。
ガスケット選定やオイルの知識もありますし、1級機械保全技能士という資格を持っています(ちょっとマイナー)
そんな私がコマジェのオイル交換都市伝説をジャッジ、そして私が行っている交換手順をご紹介します。
逆輸入車、生産終了車ということで、正式なメーカー見解を得づらいコマジェのオイル交換。
色々な情報に迷われている方は是非読んでみて下さい。
もくじ
マジェスティ125の数あるオイル交換情報をジャッジ
ネット上で飛び交うコマジェのオイル交換情報、本当なのかオカルトなのか、そんな情報で溢れていますよね。
どの情報も完全な間違いという事は無くて、その人が所有するコマジェにおいてはそれが真実だったという事なのだと思います。
では自分のコマジェではどうなのか・・・
その判断の手助けが出来るよう、私の見解をご紹介します。
鉱物油か合成油か?
もっとも多い議論がこれですよね。
コマジェのエンジンに使われているガスケット素材が紙だから、化学合成油の添加剤等がガスケットを溶かしてオイル漏れするというのがよく言われる定説です。
ここで登場するシリンダーブロックなどを接合する非金属のガスケット、紙のようにに見えるかもしれませんが実は紙ではありません。
色々な素材が練り込まれて圧延された合成素材です。
その練り込まれた合成素材の中にゴムも含まれている場合があるのですが、そのゴムがNBR(ニトリルゴム)だったりすると、オイル漏れの件はありえるかもしれません。
というのも、実はこのNBR素材は化学合成油に配合されているエステル系の成分がご法度だからです。
工業界隈でも一般的な流体には非常に多用されているタイプのガスケットですが、このタイプがコマジェに採用されていたかどうか?
ただ、もしそのようなガスケットが使われていたとしても、エステル系オイルが触れた瞬間に漏れ出すというのは少し考えづらいです。
私のイメージでは時間をかけて浸食され、やがて滲み出すというケースです。
交換したとたんに漏れたというケースは、経年劣化や別の要因も含まれていたのではないかと想像します。
車体と状況は人それぞれですので真相は分かりませんよね。
ということで、「君子危うきに近寄らず」精神で私は鉱物油を使っています。
オーバーホールでガスケット交換も出来なくは無いと思いますが、時間かかりますしね・・・
それにバイクの特性上、無理に高性能オイルを使う理由も見当たりません。
こちらはあくまで私の個人的な見解です。
それは間違っているよという超専門家の方が居られましたらこっそり教えて下さい。
オイルゲージの確認はねじ込む?ねじ込まない?
こちらもよく見かける議論です。
どうしてこのような話になるのかというと、以下のような理由が考えられます。
コマジェのオーナーズマニュアルによると、オイル量の指定は1.2リットルとなっているのですが、この量だとレベルゲージをねじ込まないでチェックした時にゲージの先端ギリギリにしかオイルが触れないからなんですね。
ネジの長さは約13mmですから、レベルゲージをねじ込んだとすると適正レベル付近になります。
つまり、指定されたオイル量との整合性を考えるとねじ込む派が居るのもうなずけます。
ですが、これは馴染みのバイク屋さんが言っていたのですが、ゲージをねじ込んでチェックするバイクを見たことが無いと。
ちなみにねじ込まないでゲージの良い位置までオイルを入れると約1.4リットル入ります。
実際、購入当初は1.4リットルで過ごしたのですが、エアクリーナに黒い油のような汚れが付いていたので量を減らしました。(購入時にすでに汚れていたのかは不明)
現在は約1.2から1.3リットルの間でゲージのレベルを見て決めています。(ねじ込まないで確認)
これでエアクリーナーに黒い汚れが付く事も無くなりましたし、問題が起きた事もありません。
オイルのブローは下から?横から?
実はマジェスティ125にはオイルをブローできる穴が2か所あります。
画像のように真下からと横からです。
オーナーズマニュアルでは下から抜くと記載されていますが、横からでもほぼ全量抜けます。
横からのブローがほぼ終わった所で真下のボルトを外してストレーナー点検した方が手も汚れませんし、実際にストレーナーに異物や汚れが付いていたこともないので、今後真下を外すのは2回に1回くらいにしようかと思っています。
作業性を考えると横からがおすすめですよ。
マジェスティ125のオイル交換手順
それでは私が実際にやっているオイル交換手順をご紹介します。
使っている物のリンクも随時入れてあるのでご活用下さい。
オイルのブロー
1.2リットルのオイルを受けられるトレーを用意するのですが、画像のトレーはダイソーで買ったシューズボックスという製品で、本来は靴の収納に使うグッズです。
寸法から計算すると4.4リットル入り、素材もポリプロピレンのため採用しました。
センタースタンドのペダルに乗っていますが、安定感があり問題ありません。
画像ではDCRのオイルレベルゲージが付いていますが、もちろん外しておきます。(空気を吸わせるためです。)
用意が出来たらオイルをブローするのですが、前述したように私はサイドボルトでブローしています。
ボルトの頭は12mmですのでソケットレンチにロッドを付けて緩めます。
ボルトを舐めないためにも、この手の作業にソケットレンチは必須ですよ。
そんなに高価ではありませんので、これからメンテナスは自分でと考えている方は是非揃えておきましょう。
ストレートのボルトですので、緩んだ後は手で回せます。
画像の通り、オイルが出てくる勢いはそれほど強くありません。
トレーの形が違ったとしてもセンタースタンドのペダルにかかる程ではありませんね。
外したボルトには銅パッキンが付いていますので無くさないようにします。(ボルトやパッキンのサイズは後述)
5~10分してオイルの排出が終わったらボルトは締めておきます。
このボルトはマニュアルにトルク指定が無いのですが、手で締めた後にソケットレンチでグイッという感じで充分です。
オイルストレーナーを点検掃除
こちらが本来オイルブローをするとされるドレンボルト、ボルト頭は19mmです。
センターよりも若干向かって左側にありますので、アクセスはサイドボルトの反対側からの方が作業しやすいですよ。
ほとんどオイルは出ませんので、ここでは薄型のこんなトレーを下に敷いてます。
サイドボルトからのブローを終えた後に真下のドレンボルトを外すと、残油はこの程度です。
ストレーナーを点検してパーツクリーナーで洗浄しましょう。
そして洗浄した後は画像ような順番で組み合わせ、手締めします。
ちなみにOリングを交換する気が無い場合は無理に取らない方がよいです。
硬化していると折れたりしますし、当たり面が変わると漏れの原因になったりします。
私も今回は新品を用意していませんでしたので、そっと洗いました。(笑)(ちょっと硬かったので次回は交換したいと思います。)
ボルトやOリングの詳細は後述します。
ドレンボルト締め込み
ドレンボルトの締め込みトルクはオーナーズマニュアルに指定があります。
締め付けトルクは31.4Nmです。
先程のソケットレンチに挟んで使用するタイプですが、20cm程の柄であれば、態勢も低いのでまあまあ力を入れる感じになります。(ふーーーーんっ、という感じ)
オイルの補給
専用のオイルジョッキを持っていませんので、ダイソーの計量カップと漏斗で補給しています。
500ミリリットルのカップで2回と200ミリリットルです。
ダイソーの漏斗をオイル注入口にセットして注いでいくわけですが、正直入れづらいです(笑)
サイレンサーやステーが邪魔してカップを気持ちよく起こしづらいので少し裏漏りしたりもします。
オイルジョッキーを調べてみると意外と安い。除雪機でも使うので一つしっかりしたのを持ってても良いかな・・・
オイルレベル確認
1.2リットルを入れ切った後でゲージを締めてエンジンを掛け、オイルを循環させます。
エンジン停止後、オイルレベルゲージを確認すると上の画像のような位置なのですが、裏漏りや、計量カップが本当に水平だったか等の懸念事項もあり、最終的には目視で確認するのが間違いありません。(ゲージはねじ込んでいません)
そこで格子状のサインの範囲に入るまで少量を2回に分けて追加補給。
最終的には約1.25リットル程で2枚目の画像のような位置にしました。
ゲージの確認には何度もオイルのふき取りが伴います。
タオルは不経済ですので手軽なウエスがおすすめです。
オイル交換アラートをリセット
コマジェのオイルアラートは1,000km走行ごとに事務的に出現します。
オイル交換が終わったらリセットしてアラートを消しましょう。
MODEスイッチを押すごとにODO、TRIP、OILCHNGEと変わりますので、「OILCHANGE」時にSETボタンを長押しでアラート表示が消えますよ。
廃油の処理
廃油の処理が面倒で自分でオイル交換するのをためらっている方も居るのではないでしょうか。
1.2リットルくらいのオイルであれば、フルサービスのガソリンスタンドなら普通に無料で引き取ってくれますよ。
もし馴染みのスタンドが無くて言いづらい方は下のリンクのような廃油処理セットを用意して、お住まいの地域のルールに従って廃棄しましょう。
マジェスティ125のオイルドレンボルト関連部品
真下のオイルドレンボルト関連部品はまだ純正品が手に入ります。
銅パッキンは次項のサイズを参考に汎用品で対応する予定です。
真下のドレンボルト 3UH-E5351-00
ストレーナー 3KW-E3411-00
スプリング 90501-16829
Oリング 93210-35879
マジェスティ125のドレンボルトサイズ
今回2種類のボルトを外した訳ですが、前述のように純正部品として手には入るものの、不意の破損や噛み込みなんてこともあり得ます。
何かあった時に代用品を選定できるよう、サイズを測りましたので記載しておきます。
真下のドレンボルトサイズ詳細
- ボルト頭のサイズ 19mm
- ボルト径 M35
- ボルト長 10mm
- ボルトピッチ 1.5mm
サイドボルトのサイズ詳細
- ボルト頭のサイズ 12mm
- ボルト径 M8
- ボルト長 16mm
- ボルトピッチ 1.25mm
Oリング、銅パッキンについては交換予定がありませんでしたので外しておらず、正確な計測は出来ていません。
でも上のデータがあれば近い物の想像は付きますよね。
マジェスティ125のエンジンオイル交換まとめ
親バカと言われそうですが、コマジェは本当にカッコいいですよね。
親である自分が納得のできるオイルと方法でしっかりメンテナンスしてあげましょう。
コマジェは人気車ゆえに様々な情報があふれている訳ですが、オイル交換は一番手軽に自分で出来るメンテナンスです。
壊れても新車はもう手に入りませんから、今ある車体をしっかり保守して末永く付き合っていきましょうね。