令和のこの時代、IEEE1394(iLink)について調べている方の目的はMiniDVテープに記録された映像をパソコンに取り込みたいためではないでしょうか?
MiniDVが家庭用ビデオカメラとして流行したのは約20年前、私も子供の成長を記録するために使っていました。
当時からMiniDVはアナログケーブル(黄赤白の3本線)でのダビングではなく、IEEE1394ケーブルでつなぐ事でデジタルデータとして扱えるのが売りでしたよね。
miniDVとIEEE1394というちょっと癖のある組み合わせ、実は現在主流であるWindows10のパソコン環境で扱うには色々と問題点があります。
皮肉な事にパソコン環境が最新の方ほど問題が発生しやすいとも言えます。
この記事では各問題点を解決しつつ、Windows10のパソコンにIEEE1394(iLink)ケーブルでビデオカメラをつなぎ、MiniDVの映像をデジタルデータとしてハードディスクに保存する方法を解説しています。
少々難しい所もありますが、じっくり取り組めばきっと上手くいきますよ。
今回ご紹介する作業は地味に時間と根気が必要です。
DVDにさえしてしまえばmpeg2の抜き出しは一瞬ですよ。
私は下のサービスと併用しました。
もくじ
Windows10での問題点の整理
それではまず、何が問題なのかを整理したいと思います。
- IEEE1394a(iLink)ポートがPCに付いて無い
- 自動でインストールされるドライバーでは正常動作しないケースがある
- 取り込みできるソフトが無い
以上3点がWindows10環境下での問題点です。
順番に解説していきます。
IEEE1394a(iLink)端子が無い
そもそもの話ですが、2020年現在IEEE1394aポートをマザーボードに標準装備しているWindowsパソコンは皆無といっても良いでしょう。
私のパソコンもWindowsXP、WindowsVista時代まではIEEE1394aのポートが標準で付いておりましたが現在のマザーボードには付いていません。
そのため私が今回購入したのがこちら。
IEEE1394ケーブル(6ピン→4ピン)も同梱されており、ロープロにも対応していますので、どんなパソコンでもPCI-Expressのポートさえ空いていればOKです。
ケーブルの話
実は今回同梱されていたケーブルでは私のカメラを認識しませんでした。
18年程前に買った当時のケーブルだと認識・・・なぜ??
18年前のケーブルも最初は認識しなくて苦労したのですが、その時の理由はカメラのポートが奥まっていて、ケーブルの被覆が当たっていて完全に入っていなかった。です(笑)
カッターナイフでゴリゴリ削ったら無事解決、という物でしたが今回は完全に入っているように見えます。
初期不良なのか相性なのか、旧ケーブルで動作したので追求していません。
自動でインストールされるドライバーでは動作しない
上記のボードを差して自動でインストールされるドライバーはVIA 1394 OHCI Compliant Host Controllerという物ですが、これでは機器の接続は認識するのですが、いざ取り込みや再生をソフト上から行おうとすると画像のようなエラーとなり上手く行きません。
ドライバーの更新や検索などをかけても選択肢が出現しないのですが、解決方法はありますので後述します。
これは環境に依存するようで、そのままでも問題無い方も居るようです。
取り込みできるソフトが無い
いざ正常動作させることができても、IEEE1394経由で取り込み出来るソフトがWindows10には標準搭載されていません。
フォトというソフトが、現在実装されなくなったWindows Movie Makerの後継なのですが、USB接続の外部機器しか認識しないようで、IEEE1394接続のカメラを認識してくれないのです。
そこで今回は常用しているPowerDirector17というソフトを利用しました。
ドライバーですんなり行かなかったのはこのソフトとの相性も否定できませんが、昔から使い慣れているソフトなので頑張って使えるようにしたのです。
現在の主流はPowerDirector365というサブスクリプション版ですが、体験版もありますのでこの機会に検討されてはいかがでしょうか?
adobeのインターフェースが苦手な人には特におすすめです!(私です)
上記3点を解決し、私が取り込みを成功させた方法を次章で解説します。
MiniDVテープの映像をPCに取り込む準備
それでは実際にボードの増設、ドライバーの入手とインストール方法を解説していきたいと思います。
IEEE1394ボードを用意する
今回購入したボードはPCI-Express接続なので、画像の空きスロットに差してPCを起動します。(不安な方はマザーボードをよく見ると書いてあります。)
デバイスマネージャーで確認するとしっかり認識していますね。
ついでに接続機器も認識していますからこのまま行けそうにも見えます。
環境によってはこれでいける方も居るようですが、私はダメでした。
お使いのソフトで問題が出た方は以下の行程を試してみて下さい。
【難関】ドライバーを用意する
ここでインストールされているドライバーは「VIA 1394 OHCI Compliant Host Controller」という物ですが、このまま取り込み作業をしようとするとPowerDirectorがこんなエラーを吐きます。
これを解決するために、マイクロソフトで配布されている1394_OHCI_LegacyDriver.msiというドライバーファイルを使用します。
今回の作業をする上で以下のサイトを参考にさせて頂きました。
https://ameblo.jp/purplesounds/entry-12228927338.html
大変詳しく解説されており全くこの通りなのですが、DOSコマンドの知識がない方向けにもう少し詳しく解説したいと思います。
詳細手順解説 諦めないで!
手順を簡素化するために次のような準備をします。
Cドライブ直下に任意の名前を付けたフォルダ2個を新規作成します。(今回は1394と1394aの2個を作成)
1394の中に64bit版のドライバーを以下のリンクからダウンロードして準備しておきます。
現在、上記のマイクロソフトページでドライバーのリンクが外れています。
こちらから同じ物をダウンロードできます↓(言語は日本語を選択)
https://www.microsoft.com/ja-JP/download/details.aspx?id=44219
ダウンロードした1394_OHCI_LegacyDriver.msiファイルはダブルクリックするとインストールされる形式なのですが、上手く行かない方は以下の方法で中身を抜き出す必要があります。(私です)
スタート→Windowsシステムツール→コマンドプロンプトからコマンドプロンプトを起動します。
そして下の画像が実際の操作後のスクショです。
何だか難しそうに見えますが、私が実際に記述したのは赤線の部分のみで、あとは勝手に表示される部分なんですよ。
最初にフォルダを2個作ったのは少しでも記述を短くして間違いを避けるためです。
理屈が分かっている方はどのフォルダを対象にしても構いません。
※円マークがバックスラッシュと表示される方は円マークに置き換えて下さい。
①最初に何と表示されていてもかまいません、cd \1394と入力します。(cdとはディレクトリを移動しなさいという命令です。つまりc:\1394に移動します。)
②ではdirと入力。(dirとはディレクトリの中身を表示しなさいという命令です。つまり、フォルダの中身を表示します。)
③ここが上記サイト「ムラサキノオト」さんを参考にさせてもらった部分、c:\1394aにmsiファイルを展開しなさいという命令です。(同一フォルダに展開しないのは動作不具合が起こらないよう念のため分けました。)
赤点は半角スペースです.
start /wait msiexec.exe /a 1394_OHCI_LegacyDriver.msi targetdir=”c:\1394a” /qn /li “c:\1394a\install.log”
実は後からキーボドのショートカットキーでコピペが出来る事を知りました(汗)
左上のコマンドプロンプトと書いてある部分を右クリック→プロパティ→
「Ctrl+Shift+C/Vをコピー/貼り付けとして使用する」にチェックで機能するようになります。(デフォルトでONにしておいて欲しい・・・)
ですから上記の記述をコピペ、必要に応じて改変が間違いありません。
④でc:\1394aに移動します。
⑤でc:\1394aの中身を表示します。
画像のようなメッセージが表示されたら成功です。
コマンドプロンプトと聞いただけで心が折れる方も居るかもしれませんが、意外と簡単です。
私も何度も書き間違いをしましたが問題ありません、何度でもやり直しできますよ。
ドライバーの更新
c:\1394aフォルダの中に「1394 OHCI Compliant Host Controller (Legacy)」という名のフォルダが出来上がっているのを確認したらドライバーを更新します。(フォルダの移動は自由です。分かりやすい場所に移動しておくのも良いですね。)
デバイスマネージャーからVIA 1394 OHCI Compliant Host Controllerを右クリック、ドライバーの更新を選びます。
コンピューターを参照して・・・を選んで、コンピューター上の利用可能な・・・を選択。
すると一覧の中に(Legacy)と書かれたドライバーがあるはずなのでこちらを選んでインストールします。
ドライバーが赤線のようになっていれば成功です。
これで私の環境ではPowerDirector17が動作するようになりました。
インストール後は念のため再起動しておくのが良いかもしれません。
今回の作業でも、インストール直後はドライバーが見えず少々焦りました。
あれこれ開いたり閉じたりしているうちに読み込まれたという感じです。
せっかく苦労して行ったドライバー更新ですが、WindowsUpdteで元のドライバーに戻ってしまう場合があるようです。(私です)
ですが、一度今回の作業を実行していればデバイスマネージャーのドライバー一覧に載りますので、定期的にチェックするのが良いと思います。
今回の作業が難しいと感じたらDVD化してからパソコンに取り込む方法もあります。
PowerDirector17でMiniDVの映像をPCに取り込む
ここまで準備して、やっと映像の取り込みに取り掛かれるのですが、先述した理由でソフトを用意しなければなりません。
動画編集のフリーソフトは体験版だったり、機能制限があったり、日本語版が無かったりとどれもこれ1本でOKという物は無いのが現状です。
そこで私が使っているのがPowerDirector17ですので取り込みはこのソフトで解説します。
現在の最新版はバージョン20、もしくはサブスクのPowerDirector365すが、昔からバンドル版などが多く出回っていますので触れたことがある方も多いはず。
adobeのインターフェースが苦手と感じる人は使いやすいと思いますよ。(私です)
有料ソフトは自由度と選択肢が桁違いですので、取り込んだ映像の編集やDVD化を考えているのであれば何か1本導入する事をおすすめします。
MiniDVの映像はデジタルデータですのでキャプチャーではなくコピーと言えると思うのですが、テープを再生してデータを転送するので実時間かかります。
今の時代で考えると??な方法ですよね。
当時はCPUやHDD容量が付いて行けてない状況でしたし、すべてが成熟した現在ではテープ等ありえない。
今考えると生まれる時代を間違ったというか、全てが噛み合わない不毛な規格だったと言えるかもしれませんね。
PowerDirector17での取り込み方法
PowerDirector17を立ち上げ、①の「取り込み」タブを選択します。
接続したカメラの電源(再生切り替え)を入れると②のアイコンが白くハイライトしますので選択します。
③の「フォルダーの変更」は取り込む映像の保存先です。必要ならば変更します。
④「プロファイル」を押すと画面の様なダイアログが出ますので、⑤で保存する映像の形式、⑥で画質のクオリティを選択します。
それぞれのファイル形式の特徴の説明は次項で解説します。
画質に関しては最上位以外選ぶ理由はないと思います。
全ての設定が終わったら⑦の録画ボタン(赤丸)を押せばコピー開始です。(再生、停止等すべての操作は画面上のアイコンで可能です。)
実時間掛かります。
終われば勝手に停止してファイル名を入力するダイアログが立ち上がりますので、決定したら終了です。
長丁場です、何か他の事をして時間をつぶしましょう(笑)
取り込む映像の保存形式を考える
映像を取り込む際、動画形式を選ぶ事になるのですが、PowerDirector17で選択できる形式は4種類です。
しかし実際に選択できるのは2種類。(DV-AVIとMPEG2)
それぞれのメリットや用途を説明します。
mpeg2で保存
昔からあるDVDの映像形式です。
奇麗さ、保存容量等、一番バランスがとれていると思います。
取り込んだデータをDVD化するのならばコレ一択でしょう。
30分の映像で約1.8GBです。
AVI(DVコーデック)で保存
元々の映像とイコールです。(無劣化)
テープの完全なバックアップとしてはこれを選択するべきなのでしょうが、容量が巨大な割にMPEG2と違いが分かりづらいクオリティ、その後の発展性を考えるとあまりメリットは感じられません。
しかし、この作業の目的として同一の物をバックアップできたという満足感はあるかもしれませんね。
30分の映像で約6.3GBです。
H.264やmpeg4(iphone)の選択肢
Youtube等で現在主流のフォーマット群ですが、選ぼうとするとPowerDirectorがエラーを吐きます。(理由はソフト固有の物かどうかは不明)
iphoneやスマホに入れたい時はこれにしたいので、今回は別の手段でmpeg2をmpeg4にエンコード。
奇麗です。ハッキリ言って違いが分かりません(笑)
30分の映像で約265MBです。
この後の動画活用方法は
パソコンに動画を取り込むならDVDにしたり、iPhoneで見たりして楽しもう!
という別記事で紹介しています。
参考までに私のPCのスペックを記載すると、5年程前に組んだCore-i5の何の特徴も無い自作機です。
ストレス無く作業は出来ますが、ギリギリという印象です。
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面倒なユーザー登録が一緒に出来ますのでシリアルナンバーを紛失した際も安心ですよ。
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MiniDVをパソコンに取り込む方法まとめ
IEEE1394とMiniDVの組み合わせ、それぞれの製品の数だけ組み合わせがありますので何の問題も無くできた方はラッキーかもしれませんね。
やっと映像をスムーズに扱える時代になったのに、規格が古いがゆえに最新の環境で動作させるのに苦労するというのも皮肉な話です。
ただ、MiniDVを再生する機械は希少です。もう手に入りません。
動作するうちに何かのかたちでバックアップはしておきたいですね。(私も20数本待機中・・・)
今回ご紹介した方法ですべてのテープをパソコンに取り込むのは中々骨の折れる作業です。
私は自分の趣味で撮ったテープは今回の方法で、子供の成長記録は専門業者に依頼してDVD化後、パソコンに取り込みました。
DVDからパソコンに取り込むのは一瞬なのです。
詳しくはビクターダビングサービスでMiniDVをDVDにダビングした感想という記事を書いていますので是非読んでみて下さい。
どちらの方法にせよ、デジタルデータにさえすれば後の選択肢は無限です。
DVDにするも良し、スマホに全部入れるも良し、外付けHDDに入れてメディアプレーヤーをリビングのテレビでというのも良いですね。
さあ、壊れる前に頑張りましょう!
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